悪人
重い題材ですが、感情を煽らない作りです。妻夫木聡と深津絵里の芝居を観るだけでも価値があります。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- 李相日
- 原作・脚本
- 吉田修一
- 音楽
- 久石譲
- 出演
- 妻夫木聡、深津絵里、樹木希林、柄本明、岡田将生
- 上映時間
- 139分
- 公開
- 2010年9月
あらすじ(ネタバレなし)
福岡県の峠道で、保険外交員の女性の遺体が見つかります。容疑者として浮かんだのは、長崎で祖母と暮らし、土木作業員として働く清水祐一でした。
逃亡した祐一は、出会い系サイトで知り合った紳士服店員の光代と会います。事情を知ったうえで、光代は彼と一緒に逃げることを選びます。事件の周囲では、被害者の父、加害者の祖母、そして事件に関わったもう一人の若者の生活が、それぞれに壊れていきます。
ここが見どころ
灯台での時間
逃避行の果てにたどり着く廃灯台。逃げ場のない場所で、二人が初めて穏やかになるという皮肉が効いています。
樹木希林と柄本明
加害者の祖母と、被害者の父。事件の当事者ではないのに人生を壊される二人が、この映画のもう一つの軸です。
タイトルの問い
誰が悪人なのか。手を下した者か、追い詰めた者か、見捨てた者か。映画は最後まで答えを出しません。
この映画について:誰が悪人なのかを、最後まで決めさせてくれない。
事件そのものより、その周りにいる人たちの孤独を描いた映画です。祐一も光代も、悪人というより誰にも必要とされてこなかった人間として描かれる。だから二人が互いを見つける場面が痛切になります。
深津絵里の芝居が突出していて、モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞しています。前半の生気のなさと、後半の変化の付け方が見事です。
難点は139分という長さと、久石譲の音楽がやや強く付きすぎる場面があることでしょうか。また、終盤の展開の解釈が難しく、観た人によって受け取り方が大きく変わります。そこを面白いと取れるかどうかです。
この作品の良さ
- 加害者・被害者双方の周囲を描く構成
- 深津絵里と妻夫木聡の芝居
- 答えを出さずに終わる誠実さ
当サイトの評価
誰が悪人なのかを、最後まで決めさせてくれない。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.5 |
| 映像美 | 4.4 |
| 音楽 | 4.3 |
| 演技 | 4.9 |
| 余韻 | 4.7 |
世間ではどう評価されているか
- 日本アカデミー賞
- 5冠 最優秀主演女優賞ほか
- モントリオール
- 最優秀女優賞 深津絵里
- 原作
- 吉田修一 同名小説
第34回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞・最優秀主演男優賞を含む5部門を受賞。深津絵里はモントリオール世界映画祭でも最優秀女優賞を受賞しました。
原作は吉田修一の同名小説で、脚本にも原作者が参加しています。同じ監督・原作者の組み合わせによる『怒り』(2016年)と併せて語られることが多い作品です。
こんな人におすすめ
- 重い人間ドラマが好きな人
- 芝居を観るのが好きな人
- 『怒り』『フラガール』が好きだった人
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