化け猫あんずちゃん
手法の話が先に立ちがちですが、単純に脱力した良い映画です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- 久野遥子、山下敦弘
- 原作
- いましろたかし『化け猫あんずちゃん』
- 手法
- ロトスコープ(実写を元にした作画)
- 製作国
- 日本・フランス
- 公開
- 2024年
- 選出
- 第77回カンヌ国際映画祭 監督週間
あらすじ(ネタバレなし)
11歳のかりんは、借金取りに追われる父に連れられて、祖父が住職を務める寺へ預けられます。母はすでに亡くなっていました。
その寺にいたのが、あんずちゃん。37歳の化け猫で、人間の言葉を話し、バイクに乗り、マッサージ屋のバイトをし、パチンコに通っています。飼い猫だった頃から数えて30年以上、この街で暮らしてきました。
母に会いたいという気持ちを抱えたかりんと、面倒見はいいがだらしないあんずちゃん。二人の日常は、やがて思いがけない方向へ転がっていきます。
ここが見どころ
ロトスコープの質感
俳優が実際に演じた映像をもとに作画しています。アニメーションなのに、人間の動きが妙に生々しい。この違和感が、化け猫が普通に暮らしている世界の説得力になっています。
山下敦弘の演出
『リンダ リンダ リンダ』などの実写監督が共同で参加しています。間の作り方が実写のそれで、アニメーションらしい省略がない。この違和感も含めて狙い通りです。
後半の飛躍
日常が続くと思っていると、後半で話が大きく動きます。ここでの世界観の広げ方が唐突なようでいて、あんずちゃんの存在を考えれば筋が通っている。
この映画について:37歳の化け猫が、パチンコを打ち、バイトをする。
手法として面白いだけの作品ではありません。「化け猫が当たり前にいる」という設定を、驚きとして扱わないことが、この映画の核です。周囲の人間は誰も驚かず、あんずちゃんも自分を特別と思っていない。
ロトスコープという技法は、実写とアニメーションの中間にあります。そのどっちつかずの質感が、あんずちゃんという存在——猫でも人間でもない——と重なっている。技法が主題と一致しているという点で、非常に良く出来ています。
物語としては、母を亡くした子どもの話です。ただ、それを湿っぽく扱いません。あんずちゃんがだらしないおかげで、感傷が常に中断される。この配分が絶妙です。
カンヌ国際映画祭の監督週間に選出されており、日本のアニメーションとしては久々のことでした。国内より海外での評価が先行した作品です。
この作品の良さ
- ロトスコープの質感が主題と一致している
- 化け猫の存在を驚きとして扱わない設定
- 実写監督による間の作り方
- 感傷を中断し続ける配分
当サイトの評価
37歳の化け猫が、パチンコを打ち、バイトをする。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.1 |
| 映像美 | 4.4 |
| 音楽 | 4.1 |
| 演技 | 4.2 |
| 余韻 | 4.2 |
世間ではどう評価されているか
- カンヌ
- 監督週間 第77回・正式上映
- 手法
- ロトスコープ
- 製作国
- 日本 ・フランス
第77回カンヌ国際映画祭の監督週間に選出され、2024年5月にワールドプレミア上映されました。日本のアニメーションとしては6年ぶりの選出です。
実写映像をもとに作画するロトスコープという手法で制作されており、監督は久野遥子と、実写出身の山下敦弘が共同で務めています。
こんな人におすすめ
- 変わった質感のアニメーションを観たい人
- 脱力した日常ものが好きな人
- 山下敦弘の実写作品が好きな人
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