近松物語THE CRUCIFIED LOVERS
近松物語
溝口作品の中では、最も入りやすい一本だと思います。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- 溝口健二
- 原作
- 近松門左衛門『大経師昔暦』
- 撮影
- 宮川一夫
- 出演
- 長谷川一夫、香川京子、進藤英太郎
- 上映時間
- 102分
- 公開
- 1954年11月
あらすじ(ネタバレなし)
京都の大経師(暦を作る家)。主人の妻おさんは、実家の借金を助けるため、手代の茂兵衛に金策を頼みます。
その内密のやりとりが、別の使用人によって歪めて伝えられます。主人は二人が密通していると思い込みます。
当時、姦通は磔の刑にあたる重罪でした。無実のまま追われることになった二人は、逃げるほかありません。
ここが見どころ
宮川一夫の撮影
『羅生門』『雨月物語』の撮影監督。琵琶湖の舟の場面など、構図の完成度が極めて高い。
舟の上の告白
死のうとしていた二人が、互いの気持ちに気づく数分。この作品の転換点です。
最後の場面
縄をかけられて運ばれていく二人の表情。悲劇のはずが、そう見えないという幕切れです。
この映画について:無実の男女が、逃げるうちに本当に愛し合ってしまう。
冤罪から始まった関係が、逃亡の途中で本物になる。制度が罪だと決めたものを、当人たちが後から選び直すという構造が見事です。
溝口作品としては、女性の受難を描くという主題は共通していますが、こちらは最後に主体性が示されます。
難点は、前半の人物関係がやや込み入っていて把握しにくいことです。
この作品の良さ
- 宮川一夫の撮影
- 冤罪から本物になる構造
- 最後の表情
当サイトの評価
4.4/5.0
無実の男女が、逃げるうちに本当に愛し合ってしまう。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.4 |
| 映像美 | 4.9 |
| 音楽 | 4.3 |
| 演技 | 4.7 |
| 余韻 | 4.6 |
世間ではどう評価されているか
- 評価
- 溝口健二の代表作 各種投票で上位
- IMDb
- 8.0 /10
- 原作
- 近松門左衛門 浄瑠璃
溝口健二の後期を代表する作品のひとつとして、国内外で高く評価されています。
原作は近松門左衛門の浄瑠璃『大経師昔暦』です。
こんな人におすすめ
- 溝口健二作品に入りたい人
- 美しい構図を味わいたい人
- 古典の映像化に関心がある人
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