
フォレスト・ガンプ/一期一会
「泣ける映画」の代名詞のように扱われますが、実際に観ると、かなりひねくれた視点も入っています。そこも含めて紹介します。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- ロバート・ゼメキス
- 原作
- ウィンストン・グルーム
- 出演
- トム・ハンクス、ロビン・ライト、ゲイリー・シニーズ、サリー・フィールド
- 上映時間
- 142分
- 日本公開
- 1995年3月
あらすじ(ネタバレなし)
アラバマ州の田舎町。知能指数が低く、脚に装具をつけた少年フォレストは、母の「あなたは他の人と何も変わらない」という言葉を信じて育ちます。彼を守ってくれたのは、同級生のジェニーだけでした。
走ることだけが得意だったフォレストは、大学のアメフト選手になり、ベトナム戦争へ行き、卓球でアメリカ代表になり、エビ漁の会社を興し、いつのまにか億万長者になります。その間ずっと、彼はジェニーのことだけを考え続けていました。
ここが見どころ
歴史映像との合成
実際のニュース映像にフォレストを合成し、歴代大統領と握手させています。当時としては最先端の技術で、アカデミー視覚効果賞を獲っているのはこの処理です。
ジェニーという対比
フォレストが何も考えずに正しい場所へ行き着くのに対し、ジェニーは自分で選び続けて傷ついていきます。この対比があるから、単なるいい話にならない。
走り続ける場面
理由もなくアメリカ横断を走り出し、勝手に信奉者が付き、そして何の説明もなくやめる。この映画の皮肉がいちばん出ている数分です。
この映画について:アメリカ現代史を、何も分かっていない男の目で通しで見る。
感動作として売られてきた作品ですが、実際の作りはかなり冷たいところがあります。フォレストは何も理解しないまま歴史の重要な場面に居合わせ、その意味を最後まで分からない。アメリカ現代史を、理解しない男の目で通してみせるという構造そのものが皮肉です。
トム・ハンクスの演技は、誇張と抑制のバランスが見事です。障害の描写に寄りかからず、あくまで一人の人間として立たせている。142分を支えているのはこの芝居だと思います。
同時に、この映画の価値観については当時から批判もありました。自分で考えずに与えられた道を進んだ男が報われ、自分で選び続けた女性が罰されるように見える、という読み方です。この指摘は正当だと思うので、そこも意識して観ると面白いはずです。
この作品の良さ
- トム・ハンクスの抑制の効いた演技
- 現代史を通しで見せる構成の大胆さ
- 感動作の顔をしながら、皮肉が効いている
当サイトの評価
アメリカ現代史を、何も分かっていない男の目で通しで見る。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.8 |
| 映像美 | 4.5 |
| 音楽 | 4.7 |
| 演技 | 5.0 |
| 余韻 | 4.8 |
世間ではどう評価されているか
- IMDb
- 8.8 /10
- 米アカデミー賞
- 6冠 作品賞・監督賞・主演男優賞ほか
- 公開年
- 1994 全米興行収入1位
第67回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞・脚色賞・編集賞・視覚効果賞の6部門を受賞。同年の『ショーシャンクの空に』『パルプ・フィクション』を抑えての受賞でした。
その一方で、この年の作品賞は本当にこれでよかったのかという議論は現在まで続いています。作品そのものの評価は高いまま、賞の妥当性だけが問われ続けている珍しい例です。
こんな人におすすめ
- 長い時間を通して人生を見せる映画が好きな人
- アメリカ現代史に興味がある人
- 有名だが未見のままにしている人
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