GOOD BOY
洋画2026年ホラー2020年代アメリカ

GOOD BOY/グッド・ボーイ

企画を聞いた時点では一発ネタだろうと思っていました。観たら、最後まで持たせきっていて驚いた作品です。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督・脚本・製作
ベン・レオンバーグ
主演
インディ(犬)
製作国
アメリカ
日本公開
2026年7月10日
ジャンル
ホラー
受賞
SXSW最優秀犬演技賞、アストラ映画賞(動物俳優部門)

あらすじ(ネタバレなし)

犬のインディは、飼い主とともに田舎の実家へ移り住みます。古い家、広い庭、静かな夜。犬にとっては悪くない環境のはずでした。

しかしインディは、その家に何かがいることに気づきます。飼い主には見えていない、聞こえていない何か。犬の感覚だけがそれを捉えている。

やがて飼い主の様子がおかしくなっていきます。何が起きているのかを説明する手段を持たないインディは、それでも飼い主を守ろうと、自分にできる方法で抵抗を始めます。

ここが見どころ

視点を徹底したことの効果

カメラは終始、犬の目の高さにあります。人間の会話は断片的にしか入らず、状況説明はほとんどありません。「分からないまま怖い」という状態が、技術的に作られているのがこの映画の肝です。

説明できないもどかしさ

インディは危険を察知しているのに、それを伝える手段がない。吠えても飼い主には通じない。この伝わらなさそのものが恐怖の中心に置かれています。ホラーの構造として非常によく出来ています。

犬の演技

SXSWで最優秀犬演技賞という賞が贈られたのは冗談のようですが、実際に画面を持たせているのはこの犬です。表情ではなく、耳の動きと歩き方で緊張を伝えてきます。

この映画について:全編、犬の視点。犬にだけ見えているものがある。

一発ネタで終わりかねない企画を、最後まで成立させたのが立派です。鍵になっているのは、視点の制限を「不便」ではなく「武器」として使い切ったこと。人間なら確認しに行ける場所へ行けない、聞けば分かることが分からない。その制限が全部、緊張に変換されています。

低予算作品で、大きな仕掛けはありません。むしろ、家の中と庭というごく狭い範囲で完結しています。それでも間が持つのは、観客が犬と同じ情報量しか持てないからです。

犬が好きな人にとっては、恐怖より先に「この子が心配で仕方ない」という感情が来ます。これは作り手が完全に意図している部分でしょう。犬に何かあったらどうしよう、という気持ちを人質に取る作りです。そこを不快に感じる人もいると思います。

上映時間が短めなのも正解でした。この手法は長時間持つものではありません。作り手が自分の企画の限界を分かっている、という点でも信頼できます。

この作品の良さ

  • 視点の制限を恐怖に変換した設計
  • 「伝えられない」というもどかしさを核に据えた構造
  • 犬の存在感だけで画面を持たせている
  • 手法の限界を分かった上での適切な尺

当サイトの評価

4.0/5.0

全編、犬の視点。犬にだけ見えているものがある。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.1
映像美4.3
音楽4.0
演技3.9
余韻4.2

世間ではどう評価されているか

SXSW
受賞 最優秀犬演技賞(2025年)
アストラ映画賞
受賞 動物俳優 最優秀演技賞
日本公開
2026 年7月10日

2025年のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト映画祭)で最優秀犬演技賞、2026年のアストラ映画賞ホラー/スリラー部門で動物俳優としての最優秀演技賞を受賞しています。

全編を犬の視点で撮るという手法が話題を呼んだ作品で、日本では2026年7月10日に公開されました。

こんな人におすすめ

  • 変わった作りのホラーを観たい人
  • 低予算でも工夫のある作品が好きな人
  • 犬が好きな人(ただし心臓に悪いです)

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