JOJO RABBIT
洋画2019年コメディ2010年代アメリカ

ジョジョ・ラビット

題材と手法の相性を疑いながら観始めて、途中で完全に信用した作品です。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督・脚本
タイカ・ワイティティ
原作
クリスティン・ルーネンズ『Caging Skies』
出演
ローマン・グリフィン・デイヴィス、スカーレット・ヨハンソン、トーマシン・マッケンジー、サム・ロックウェル
製作国
アメリカ・ニュージーランドほか
公開
2019年
受賞
米アカデミー賞 脚色賞

あらすじ(ネタバレなし)

第二次世界大戦末期のドイツ。10歳のジョジョは、ナチスの青少年組織に所属する熱心な少年です。彼には空想上の友人がいました。アドルフ・ヒトラー——彼の頭の中にいる、陽気で頼りない相談相手です。

訓練で失敗し、ウサギを殺せなかったことから「ジョジョ・ラビット」とあだ名される彼は、自分を臆病者だと感じています。

ある日、彼は自宅の隠し部屋にユダヤ人の少女エルサが匿われていることを知ります。母が隠していたのです。教わってきたことと、目の前にいる人間が一致しない。ジョジョの世界は揺らぎ始めます。

ここが見どころ

空想のヒトラー

監督のタイカ・ワイティティ本人が演じています。まったく威厳がなく、駄々をこねる子どものような造形。権威を徹底的に間抜けに描くことが、この映画の批評そのものになっています。

スカーレット・ヨハンソンの母

息子に直接説教しません。代わりに、生き方で示そうとする。ある場面の靴の描写は、台詞なしで観客に全部を理解させる、この映画の白眉です。

笑いから沈黙への切り替え

コメディとして進んでいた話が、予告なく止まります。この落差の設計が非常に精密で、笑っていた自分が居心地悪くなるように作られています。

この映画について:空想上の友だちがヒトラーである、10歳の少年の話。

ナチスを笑いの対象にする作品は過去にもありますが、本作が特異なのは子どもの視点に完全に限定したことです。ジョジョが理解できる範囲でしか世界は描かれない。だから政治の説明はなく、あるのは彼が信じ込まされたものだけです。

その結果、洗脳が解けていく過程が、そのまま物語になります。誰かに論破されるのではなく、目の前の人間と接することで前提が崩れる。この順序が非常に丁寧です。

ふざけた見た目に反して、暴力の描写からは逃げていません。ある場面は唐突で、直視させられます。笑いを許した観客に、その代償を払わせるような作りです。

批判として「戦争を軽く扱っている」という意見も出ました。ただ、本作が軽く扱っているのは戦争ではなく権威のほうで、そこは区別されるべきだと思っています。

この作品の良さ

  • 権威を間抜けに描くことで批評にしている
  • 子どもの視点に限定した構成
  • 笑いから沈黙への切り替えの精密さ
  • 台詞に頼らない母の描写

当サイトの評価

4.4/5.0

空想上の友だちがヒトラーである、10歳の少年の話。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.5
映像美4.4
音楽4.4
演技4.6
余韻4.6

世間ではどう評価されているか

米アカデミー賞
受賞 脚色賞
ノミネート
6 部門(作品賞ほか)
公開
2019

第92回アカデミー賞で脚色賞を受賞し、作品賞・助演女優賞を含む6部門にノミネートされました。

監督のタイカ・ワイティティは、劇中で空想上のヒトラーを自ら演じています。ユダヤ系の出自を持つ人物がこの役を演じたことも、公開時に話題となりました。

こんな人におすすめ

  • 重い題材を笑いで扱う作品に抵抗がない人
  • 『ライフ・イズ・ビューティフル』が好きだった人
  • 子どもの視点から描かれた戦争ものを観たい人

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