聲の形
同じ2016年の『君の名は。』の陰に隠れがちですが、作品としてはこちらのほうが難しいことをやっています。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- 山田尚子
- 原作
- 大今良時
- 制作
- 京都アニメーション
- 音楽
- 牛尾憲輔
- 声の出演
- 入野自由、早見沙織
- 上映時間
- 129分
- 公開
- 2016年9月
あらすじ(ネタバレなし)
小学6年生の石田将也は、転校してきた聴覚障害のある少女・西宮硝子をからかい、いじめの中心になります。事が明るみに出ると、周囲は一斉に将也を責め、今度は彼が孤立します。
高校3年生になった将也は、人の顔をまともに見られなくなっていました。手話を覚えた彼は、硝子に会いに行きます。しかし、過去をなかったことにはできません。
ここが見どころ
顔に×印
将也が他人の顔を見られないことが、画面上で顔に×が貼られる表現で示されます。説明せずに主観を可視化するアニメーションらしい処理です。
足元のカット
山田尚子監督の特徴でもある、人物の足元や手元を映すカットが多用されます。顔を見せないことで、言えない感情を伝える。
音の設計
硝子の聞こえ方を再現するように、音が遠のく場面があります。牛尾憲輔の劇伴も、生活音に近い質感で作られています。
この映画について:許されたい側の話であって、許す側の話ではない。
扱いが難しい題材ですが、この作品の誠実なところは「許してもらう話」にしていない点です。将也は謝罪しますが、それで解決はしません。硝子の側にも、自分を責める癖が根深く残っています。
登場人物のほぼ全員に嫌なところがあり、誰も救済されないまま話が進みます。過去のいじめに加担した側の描写も容赦がない。ここまで人物を許さない青春ものは珍しい。
難点は、原作の情報量を129分に圧縮しているため、一部の人物の掘り下げが足りないことです。特に周囲の同級生たちの変化は駆け足に見えます。また、自殺に関わる描写があるので、そこは注意が必要です。
この作品の良さ
- 安易な和解に着地させない構成
- 顔や足元の見せ方による、感情の可視化
- 聞こえ方を再現する音の設計
当サイトの評価
許されたい側の話であって、許す側の話ではない。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.6 |
| 映像美 | 4.8 |
| 音楽 | 4.7 |
| 演技 | 4.4 |
| 余韻 | 4.8 |
世間ではどう評価されているか
- 国内興行収入
- 23 億円
- IMDb
- 8.1 /10
- 原作
- 大今良時 全7巻の漫画
京都アニメーション制作。原作は大今良時による全7巻の漫画で、連載時から題材の扱いをめぐって議論を呼んだ作品です。
海外での評価が高く、日本のアニメーション映画としては珍しく、障害といじめを正面から扱った作品として言及されます。
こんな人におすすめ
- きれいごとで終わらない青春ものが観たい人
- アニメーションの繊細な演出を味わいたい人
- 『リズと青い鳥』が好きだった人
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