THE SHELL
GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊
全身義体の捜査官が、ネットワーク上の犯罪者を追う。83分と短く、哲学的な議論と静かな都市描写が大半を占める。
甘い青春ものとして紹介されがちですが、中身はかなり苦い自己評価の話です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
中学3年の月島雫は、読書ばかりしている少女です。図書カードにいつも同じ名前が先に書かれていることに気づき、その人物に関心を持ちます。
やがて彼女は、その相手が同級生の天沢聖司であることを知ります。彼はヴァイオリン職人になるためイタリアへ行くという明確な目標を持っていました。何も持たない自分に焦った雫は、物語を書き始めます。
初めて小説を書き始めた雫が、思うように書けずに落ち込む過程が丁寧です。才能がないかもしれないという恐怖を、正面から扱っています。
冒頭の訳詞づくりから、地下室での合奏まで。一曲が作品全体の骨格になっています。
恋愛の話に見えますが、実際は「自分にできることが何もない」という焦りの話です。聖司が明確な目標を持っているからこそ、雫は焦る。この構図が全部です。
書き上げた作品を読んでもらった後の雫の反応が、この映画のいちばん良いところです。うまくいかなかったことを、うまくいかなかったまま受け止める。
難点は、終盤の展開が唐突なことでしょうか。あそこだけ現実味が薄いという指摘は正当です。また、いま観ると進路をめぐる価値観に時代を感じます。
好きな人が先を走っている、という焦り。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.5 |
| 映像美 | 4.6 |
| 音楽 | 4.7 |
| 演技 | 4.4 |
| 余韻 | 4.8 |
1995年の日本映画で興行収入1位を記録しました。監督の近藤喜文は宮崎駿・高畑勲の後継者と目されていましたが、この作品が唯一の劇場長編となりました(1998年に他界)。
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