OPPENHEIMER
洋画2023年ドラマ2020年代ノーラン

オッペンハイマー

日本の観客としては複雑な作品です。何が描かれ、何が描かれていないかを整理して書きます。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督・脚本
クリストファー・ノーラン
出演
キリアン・マーフィー、ロバート・ダウニー・Jr.、エミリー・ブラント、マット・デイモン
音楽
ルドヴィグ・ゴランソン
上映時間
180分
日本公開
2024年3月

あらすじ(ネタバレなし)

理論物理学者J・ロバート・オッペンハイマーは、第二次大戦下、原子爆弾開発のマンハッタン計画の科学部門を率いることになります。砂漠に町を作り、世界中の頭脳を集めて、彼らは装置を完成させます。

物語は二つの時間軸で進みます。ひとつはカラーで描かれる彼自身の視点。もうひとつは白黒で描かれる、戦後に彼を追い落とした人物の視点。二つは彼の公職追放を問う聴聞会へと収束していきます。

ここが見どころ

トリニティ実験

最初の核実験の場面。爆発の瞬間、音が一切鳴りません。光が到達してから音が届くまでの数十秒を、そのまま観客に体験させます。

二つの視点の対置

カラーは主観、白黒は客観という区分けが徹底されています。誰の視点で語られているかが色で分かるという設計です。

この映画について:爆発ではなく、会議と聴聞会の三時間。

3時間のほとんどが会話です。物理学の議論、政治的な駆け引き、そして聴聞会。アクションはほぼ皆無で、緊張は言葉だけで作られています。

扱われているのは、作った本人が結果を制御できないという主題です。オッペンハイマーは英雄としても悪人としても描かれず、ただ後悔と自己弁護の間で揺れ続けます。

日本の観客としてはっきり書いておくと、広島・長崎で何が起きたかは、この映画にはほぼ出てきません。あくまで彼の主観の内側に留まる作りで、それが意図的な制限なのか回避なのかは議論が続いています。ここを承知したうえで観る必要があります。

この作品の良さ

  • 会話だけで3時間を緊張させる構成
  • 色による視点の区分け
  • トリニティ実験の音の設計

当サイトの評価

4.6/5.0

爆発ではなく、会議と聴聞会の三時間。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.6
映像美4.8
音楽4.9
演技4.9
余韻4.6

世間ではどう評価されているか

米アカデミー賞
7冠 作品賞・監督賞・主演男優賞ほか
IMDb
8.3 /10
日本公開
遅れて 本国から約8か月後

第96回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞など7部門を受賞しました。日本では公開の可否そのものが議論となり、本国から約8か月遅れての公開となっています。

こんな人におすすめ

  • 会話劇として観られる人
  • 科学と政治の関係に興味がある人
  • 議論のある作品を自分で判断したい人

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