パラサイト 半地下の家族
英語以外の作品として初めてアカデミー作品賞を獲った映画です。話題性が先行しましたが、作りそのものが本当に緻密なので、そこを中心に書きます。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- ポン・ジュノ
- 出演
- ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダム
- 製作国
- 韓国
- 上映時間
- 132分
- 日本公開
- 2020年1月
あらすじ(ネタバレなし)
半地下の狭い部屋で暮らすキム一家は、四人全員が無職です。ある日、長男が友人の紹介で、IT企業の社長が住む高台の豪邸に家庭教師として入り込みます。
そこから一家は、互いに他人のふりをしながら、次々とその家の仕事を手に入れていきます。運転手、家政婦、美術教師。うまくいきすぎたある雨の夜、彼らはこの家のもうひとつの秘密に行き当たります。
ここが見どころ
上と下で全部を語る
半地下の家、高台の豪邸、そしてさらに下。人物が階段を上がるか下がるかだけで、その時点の立場が分かるようになっています。台詞で格差を説明する場面がほとんどありません。
雨の夜の落差
同じ雨が、一方の家では庭を洗う涼しい雨で、もう一方では家を沈める災害になる。同じ出来事が立場で意味を変えるという主題が、この一晩に凝縮されています。
におい
この映画で唯一、越えられない壁として描かれるのがにおいです。金では買えず、隠しようもない。終盤の引き金がここに置かれているのが見事です。
この映画について:階段を上がるか下がるかだけで、全部を語ってしまう。
前半は完全に犯罪コメディで、テンポよく笑わせてきます。その笑いに乗せられたまま中盤の一点を越えると、もう笑えなくなる。ジャンルの切り替えを、観客に気づかせないまま実行しているのがこの映画のいちばんの技術です。
空間設計も徹底しています。豪邸のセットは実際に建てられていて、視線の抜け方や隠れられる場所が最初から計算されている。だから終盤の展開に無理がありません。
一方で、寓話としての整理が効きすぎているとも言えます。人物は立場の代表としてふるまい、個人としての厚みはやや薄い。また、暴力描写が急に強くなるので、そこで拒否反応が出る人はいると思います。
この作品の良さ
- 階段と高低差だけで格差を見せる演出
- 笑いから恐怖への切り替えを気づかせない構成
- 計算しつくされたセットの空間設計
当サイトの評価
階段を上がるか下がるかだけで、全部を語ってしまう。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.9 |
| 映像美 | 4.7 |
| 音楽 | 4.4 |
| 演技 | 4.8 |
| 余韻 | 4.8 |
世間ではどう評価されているか
- 米アカデミー賞
- 4冠 作品賞・監督賞・脚本賞ほか
- カンヌ
- パルムドール 2019年
- 記録
- 史上初 英語以外の作品で作品賞
2019年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、翌年の第92回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の4部門を受賞しました。カンヌ最高賞とアカデミー作品賞の両方を獲った作品は他になく、英語以外の言語の作品が作品賞を獲ったのもこれが初めてです。
日本でも異例のロングランとなり、韓国映画への関心が一気に広がるきっかけになりました。
こんな人におすすめ
- 社会的なテーマを娯楽として観たい人
- 空間設計や演出の緻密さを味わいたい人
- 『万引き家族』が好きだった人
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