シン・ゴジラSHIN GODZILLA
邦画2016年特撮2010年代庵野秀明

シン・ゴジラ

「会議ばかり」という評はその通りですが、それこそがこの映画の狙いです。何を描こうとしたのかを書きます。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

総監督・脚本
庵野秀明
監督・特技監督
樋口真嗣
音楽
鷺巣詩郎
出演
長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ
上映時間
119分
公開
2016年7月

あらすじ(ネタバレなし)

東京湾アクアラインで原因不明の事故が発生します。首相官邸に集められた官僚たちは、海底火山の噴火だと結論づけようとしますが、内閣官房副長官の矢口だけが「生物の可能性」を口にします。

やがて巨大不明生物が上陸し、形態を変えながら都市を破壊していきます。既存の法律も、自衛隊の運用も、この事態を想定していません。政府は、前例のない相手に対して手続きを積み上げながら対抗しようとします。

ここが見どころ

会議と字幕

役職名がすべて画面に表示され、会話は早口で重なります。「誰が何の権限で何を決めるか」だけを描き続けるという異常な作りで、そこに緊張が生まれます。

ゴジラの造形の変化

上陸時のゴジラは目が虚ろで、生き物として気持ち悪い。完成形に至るまで何度も姿を変えます。畏怖ではなく生理的な不快から入るという選択が効いています。

第二形態からの東京襲撃

破壊の場面に音楽がほとんど付かず、逃げる人の視点と報道映像で構成されます。災害の記録映像に近い手触りです。

鷺巣詩郎の音楽と旧作の流用

伊福部昭の楽曲がそのまま使われる場面があり、シリーズの歴史を背負ったうえで新しいことをやると宣言しています。

この映画について:怪獣映画の顔をした、会議の映画。

怪獣映画としては異例なほど、人間ドラマがありません。主人公に家族も恋人もおらず、私生活は一切描かれない。登場人物は全員が役職として存在している。この割り切りが徹底しているから、119分が締まっています。

描かれているのは、前例のない事態に対して組織がどう動くかという一点です。会議、法解釈、根回し、責任の所在。それをスピード感のある編集で見せることで、書類の話がアクションになっています。

弱点としては、一部の登場人物の造形と台詞が浮いていること、そして日本を肯定的に描きすぎているという批判があることです。現実の災害を強く想起させる作りなので、そこに抵抗を覚える人もいると思います。

この作品の良さ

  • 組織と手続きだけで緊張を作る構成
  • 生理的な不快から入るゴジラの造形
  • 私生活を描かないという割り切り

当サイトの評価

4.5/5.0

怪獣映画の顔をした、会議の映画。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.7
映像美4.6
音楽4.8
演技4.2
余韻4.3

世間ではどう評価されているか

日本アカデミー賞
最優秀作品賞 第40回
国内興行収入
82.5 億円
IMDb
6.8 /10

第40回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を含む7部門を受賞しました。国内興行収入は82.5億円です。

2011年の震災以降の日本を強く意識した作品として受け取られ、公開当時は作品評だけでなく社会論としても盛んに語られました。海外での評価は国内ほど高くありません。

こんな人におすすめ

  • 組織や手続きを描いた作品が好きな人
  • 怪獣映画に興味がなかった人
  • 情報量の多い映画が平気な人

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