沈まぬ太陽
202分と聞くと身構えますが、実際に観ると長さを感じにくい作品です。それだけ話が詰まっています。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- 若松節朗
- 原作
- 山崎豊子『沈まぬ太陽』
- 出演
- 渡辺謙、三浦友和、松雪泰子、石坂浩二
- 上映時間
- 202分
- 公開
- 2009年10月24日
- 受賞
- 第33回日本アカデミー賞 最優秀作品賞ほか
あらすじ(ネタバレなし)
大手航空会社の社員・恩地元は、労働組合の委員長として会社と交渉し、労働環境の改善を求めます。しかし会社はそれを裏切りと見なしました。
彼に命じられたのは、パキスタン、イラン、ケニアへの長期赴任でした。家族と離れ、10年に及ぶ僻地勤務が続きます。会社は彼が辞めるのを待っていました。
それでも彼は辞めません。やがて帰国した彼を待っていたのは、大規模な航空機事故と、その後の企業体質の追及でした。
ここが見どころ
202分という構成
アフリカ篇と御巣鷹山篇に大きく分かれます。一本の映画に二本ぶんの物語が入っているような構成ですが、恩地という人物を通して筋は通っています。
渡辺謙の抑制
激高する場面はほとんどありません。耐え続ける人物を、耐えているように見せないで演じるという難しいことをしています。日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。
組織の描き方
悪人が個人として存在するわけではありません。それぞれが自分の立場で合理的に動いた結果、一人が潰される。この構造の描写が精密です。
この映画について:202分。日本アカデミー賞が3時間超の作品に与えた、初めての作品賞。
山崎豊子の原作は非常に長く、映画化は無謀に近い企画でした。実際、削られた要素は多い。それでも「組織は個人をどう扱うか」という一点を軸にしたことで、映画として成立しています。
事故の描写と、遺族対応の場面は重いものです。実在の事故を想起させる内容であり、公開当時も議論がありました。ただ、扱いは慎重で、センセーショナルにする意図は見えません。
難点は、恩地という人物があまりに清廉すぎることです。彼が一度も迷わないため、対立が単純化されている面はあります。原作にあった陰影が、尺の都合で薄まった部分でしょう。
3時間を超える作品が日本アカデミー賞の作品賞を受けたのは、この作品が初めてでした。企画としての志の高さは、いま観ても伝わってきます。
この作品の良さ
- 「組織は個人をどう扱うか」に軸を絞った構成
- 渡辺謙の、耐えているように見せない演技
- 個人ではなく構造として組織を描いた視線
- 202分を長く感じさせない情報量
当サイトの評価
202分。日本アカデミー賞が3時間超の作品に与えた、初めての作品賞。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.1 |
| 映像美 | 4.1 |
| 音楽 | 3.9 |
| 演技 | 4.6 |
| 余韻 | 4.2 |
世間ではどう評価されているか
- 日本アカデミー賞
- 最優秀作品賞 第33回
- 同
- 主演男優賞 渡辺謙
- 上映時間
- 202 分
第33回日本アカデミー賞で最優秀作品賞・最優秀主演男優賞・最優秀編集賞を受賞しました。
上映時間202分。3時間を超える作品が日本アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞したのは、本作が初めてとされています。
こんな人におすすめ
- 長尺の社会派ドラマに耐えられる人
- 組織と個人の対立を描いた作品が好きな人
- 山崎豊子の原作が好きな人
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