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実在の企業を扱っているせいで「実話もの」として語られがちですが、この映画の見どころはそこではありません。人物の造形と、台詞のテンポの気持ちよさです。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- デヴィッド・フィンチャー
- 脚本
- アーロン・ソーキン
- 出演
- ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク
- 音楽
- トレント・レズナー、アッティカス・ロス
- 上映時間
- 120分
- 日本公開
- 2011年1月
あらすじ(ネタバレなし)
2003年、ハーバード大学。頭は切れるが人付き合いが壊滅的に下手な学生マーク・ザッカーバーグは、恋人に振られた腹いせに、学内の女子学生を格付けするサイトを一晩で作り上げます。サイトは大学のネットワークをダウンさせるほどの反響を呼びました。
その騒ぎを見た双子の学生から、学内向けの交流サイトの制作を持ちかけられたマークは、話を引き受けたふりをしながら、親友エドゥアルドの出資を得て自分のサービスを立ち上げます。それが爆発的に広がっていく。
物語は、成功していく創業の過程と、その数年後に起きた二つの訴訟の場面を交互に並べて進みます。何がどこで壊れたのかを、証言という形で少しずつ明かしていく構成です。
ここが見どころ
冒頭5分の会話
バーでの恋人との会話だけで、この主人公がどういう人間かを完全に説明してしまいます。早口で、相手の話を聞かず、正しさだけで殴りにいく。この5分を観れば、以降2時間で起きることの理由がすべて分かるという圧倒的な導入です。
訴訟の場面を挟み込む構成
創業の物語を進めながら、その先で誰と誰が敵対しているかを先に見せてしまう。結末を知った状態で過程を観ることになるので、楽しそうな場面ほど痛くなる。うまい仕掛けです。
トレント・レズナーの音楽
ボート競技の場面で流れる、歪んだ電子音の『In the Hall of the Mountain King』が象徴的。祝祭的な場面を不穏に塗り替える使い方が全編で徹底されています。アカデミー作曲賞受賞も納得です。
君の親友でいたかっただけだ。
エドゥアルド・サベリン(劇中の台詞より)
この映画について:友達がひとりもいない男が、友達をつなぐサービスを作った話。
起業ものではなく、人間関係が一つずつ切れていく話として観ると、この映画は非常にきれいに設計されています。マークは何かを手に入れるたびに誰かを失う。しかも本人はそれを失っていると認識していない。この鈍さが、最後のワンカットで一気に効いてきます。
アーロン・ソーキンの脚本は、台詞の量と速度が普通ではありません。人の話を遮り、二人が同時にしゃべる。字幕で追うと最初は情報量に押されますが、この速さこそが主人公の頭の中の速度なのだと分かってきます。
実話の再現としては、当然ながらかなり脚色されています。関係者からの異議も出ています。ただ、これを事実の記録として観る映画だとは思いません。「賢いが人の心が読めない人間が、人をつなぐ道具を作った」という皮肉を描いた創作として観ると、完成度は非常に高い。
この作品の良さ
- 冒頭5分で人物を説明し切る脚本の精度
- 台詞のテンポ。会話劇としての快感が大きい
- 音楽が場面の意味を裏返していく使い方
- 創業の高揚と喪失を、同時に進行させる構成
当サイトの評価
友達がひとりもいない男が、友達をつなぐサービスを作った話。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 5.0 |
| 映像美 | 4.4 |
| 音楽 | 4.9 |
| 演技 | 4.7 |
| 余韻 | 4.4 |
世間ではどう評価されているか
- IMDb
- 7.8 /10
- 米アカデミー賞
- 3冠 脚色賞・編集賞・作曲賞
- ゴールデングローブ
- 4冠 作品賞ほか
第83回アカデミー賞で脚色賞・編集賞・作曲賞の3部門を受賞しました。作品賞は逃したものの、ゴールデングローブ賞では作品賞を含む4部門を制しており、その年の賞レースの中心にいた一本です。
公開から時間が経つほど評価が上がっているタイプの作品でもあります。2010年代を象徴する一本として挙げられることが多く、SNSがここまで生活に入り込んだ現在から観ると、また違って見えるはずです。
こんな人におすすめ
- 会話の応酬が気持ちいい映画が好きな人
- 仕事や人間関係のドライな部分を描いた話が観たい人
- 『マネーボール』『マージン・コール』が好きだった人
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