第三の男
白黒の撮影という点では、これ以上のものを挙げるのが難しい作品です。話も明快で、104分と短い。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- キャロル・リード
- 脚本
- グレアム・グリーン
- 出演
- ジョセフ・コットン、オーソン・ウェルズ、アリダ・ヴァリ
- 音楽
- アントン・カラス(ツィター)
- 上映時間
- 104分
- 公開
- 1949年(イギリス)
あらすじ(ネタバレなし)
第二次大戦後、四か国に分割統治されたウィーン。三流作家のホリーは、友人ハリー・ライムに呼ばれてこの街に来ますが、到着した日にハリーの葬儀が行われていました。
事故死と説明されたその死に、ホリーは疑問を抱きます。目撃者の証言が食い違い、現場には「第三の男」がいたらしい。調べるうちに、彼は友人がこの街で何をしていたかを知ることになります。
ここが見どころ
斜めの構図
多くのカットが意図的に傾いています。街も人も、どこかまっすぐではないという感覚を、構図だけで作っています。
アントン・カラスのツィター
一台の弦楽器だけで全編の音楽をまかなっています。陽気なのに不穏という他に例のない響きが、この映画の記号になりました。
観覧車の会話
地上から離れた密室で交わされる、価値観をめぐる短いやり取り。オーソン・ウェルズの出番は短いのに、この場面で全部を持っていきます。
この映画について:傾いた構図と、ツィターの音だけで全部が決まる。
ミステリーとしての筋は単純ですが、戦後ヨーロッパの空気そのものが主役です。瓦礫、闇市、四か国の兵士、通じない言語。この街だからこの話になる、という必然があります。
撮影は白黒映画の到達点のひとつで、下水道の追跡は光と影だけで構成されています。ロバート・クラスカーがアカデミー撮影賞を受賞しています。
ラストシーンは映画史でも有名な部類です。長いカットを何もせずに撮り切るという判断が、この作品の余韻を決めています。難点は、序盤の人物関係がやや分かりにくいことでしょうか。
この作品の良さ
- 白黒撮影の到達点
- ツィター一台で作る唯一無二の音楽
- 戦後ウィーンという舞台の必然性
当サイトの評価
傾いた構図と、ツィターの音だけで全部が決まる。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.9 |
| 映像美 | 5.0 |
| 音楽 | 4.9 |
| 演技 | 4.7 |
| 余韻 | 4.8 |
世間ではどう評価されているか
- カンヌ
- グランプリ 1949年
- 米アカデミー賞
- 受賞 撮影賞
- IMDb
- 8.1 /10
1949年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞し、アカデミー賞では撮影賞を獲得しました。英国映画協会が選ぶイギリス映画のベストで1位になったこともあります。
こんな人におすすめ
- 白黒の撮影を味わいたい人
- 戦後ヨーロッパに興味がある人
- 短くて濃い古典を探している人
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