浮雲FLOATING CLOUDS
浮雲
重い映画です。ただ、人が別れられないことの描写として、これ以上のものを私は知りません。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- 成瀬巳喜男
- 原作
- 林芙美子
- 出演
- 高峰秀子、森雅之、岡田茉莉子
- 上映時間
- 123分
- 公開
- 1955年1月
あらすじ(ネタバレなし)
戦時中、仏領インドシナのタイピスト・ゆき子は、農林技師の富岡と関係を持ちます。妻と別れると彼は言い、二人は日本での再会を約束します。
敗戦後の東京。焼け跡でゆき子が富岡を訪ねると、彼は妻と暮らしたままでした。それでも彼女は離れられません。金も職も尽きていく中、二人の関係だけが惰性で続いていきます。
ここが見どころ
高峰秀子の芝居
泣きも叫びもせず、ただ疲れていく。感情を出さないことで、抜け出せなさが伝わる芝居です。
回想の使い方
南方の明るい記憶が、灰色の戦後の場面に挟まります。過去のほうが色鮮やかであることが、そのまま現在の絶望になる。
この映画について:どうしようもない男から、どうしても離れられない。
見どころは、この関係に一度も良いことが起きないという点です。富岡は無責任で、ゆき子はそれを分かっている。それでも切れない。理由は説明されません。
戦後の混乱期の描写も具体的で、金のなさ、住むところのなさが常に画面にあります。恋愛の話でありながら、経済の話でもある。
難点は、とにかく救いがないことです。123分、状況は悪くなり続けます。観る日を選ぶ作品だと思います。
この作品の良さ
- 高峰秀子の抑えた芝居
- 回想の明るさが現在の絶望を強める構成
- 戦後の生活の具体性
当サイトの評価
4.8/5.0
どうしようもない男から、どうしても離れられない。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.9 |
| 映像美 | 4.6 |
| 音楽 | 4.3 |
| 演技 | 5.0 |
| 余韻 | 5.0 |
世間ではどう評価されているか
- キネマ旬報
- 1位 1955年 日本映画ベスト・テン
- IMDb
- 7.9 /10
- 評価
- 最高位 成瀬巳喜男の代表作
キネマ旬報ベスト・テンで日本映画1位に選ばれました。成瀬巳喜男監督の代表作とされ、小津・溝口・黒澤と並ぶ存在として海外でも再評価が進んでいます。
こんな人におすすめ
- 重い恋愛ものが平気な人
- 戦後の日本を描いた作品に興味がある人
- 芝居を観るのが好きな人
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