VERTIGO
洋画1958年サスペンス1950年代ヒッチコック

めまい

ヒッチコック作品の中でも、いちばん歪んだ一本です。娯楽作というより、気持ちの悪さを味わう映画だと思っています。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督
アルフレッド・ヒッチコック
出演
ジェームズ・スチュワート、キム・ノヴァク
音楽
バーナード・ハーマン
上映時間
128分
日本公開
1958年(アメリカ公開年)

あらすじ(ネタバレなし)

サンフランシスコ。追跡中の事故で同僚を死なせ、高所恐怖症になった元刑事スコティは、旧友から妻の尾行を依頼されます。妻マデリンは、死んだ先祖に取り憑かれているというのです。

尾行するうちに彼女に強く惹かれていくスコティ。しかしある日、彼は自分の恐怖症のせいで、彼女を救えませんでした。そして数か月後、街で彼女によく似た女性を見かけます。

ここが見どころ

めまいの表現

ズームとカメラの前後移動を同時に行い、奥行きだけが伸び縮みする映像。この作品のために発明された技法で、いまも同じ効果として使われています。

後半の作り替え

スコティが女性の髪型と服を元の姿に「戻して」いく過程。愛ではなく作り替えであることを、映画は隠しません。ここが不快で、そして凄い。

この映画について:サスペンスの形をした、執着についての映画。

サスペンスとしての謎は中盤で明かされます。問題はその後で、残り時間はすべて主人公の執着に費やされる。観客は彼が何をしているか分かったうえで、止められないまま見続けることになります。

色の設計が異常に強く、緑と赤が繰り返し使われます。バーナード・ハーマンの音楽も含めて、感覚に直接くる作品です。

テンポは遅く、主人公に共感もできません。公開当時の評価が低かったのも分かります。ただ、この居心地の悪さこそが狙いなので、そこを面白がれるかどうかです。

この作品の良さ

  • めまいを表現する撮影技法の発明
  • 色彩設計とバーナード・ハーマンの音楽
  • 執着を美化せずに描く後半

当サイトの評価

4.8/5.0

サスペンスの形をした、執着についての映画。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.7
映像美5.0
音楽5.0
演技4.7
余韻5.0

世間ではどう評価されているか

批評家投票
1位 英『Sight & Sound』2012年版
IMDb
8.3 /10
公開時
評価低め 後年に再評価

公開当時の評価は高くありませんでしたが、後年に再評価が進み、英国映画協会『Sight & Sound』誌の2012年の批評家投票では、50年以上1位だった『市民ケーン』を抜いて1位になりました。

こんな人におすすめ

  • 居心地の悪い映画を面白がれる人
  • 色や音の設計に興味がある人
  • ヒッチコックを一本選ぶなら代表作以外を、という人

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