湯を沸かすほどの熱い愛
知名度は高くありませんが、この10年の邦画では強く記憶に残っている一本です。感動の押し売りではありません。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- 中野量太
- 出演
- 宮沢りえ、杉咲花、オダギリジョー、伊東蒼、松坂桃李
- 上映時間
- 125分
- 公開
- 2016年10月
あらすじ(ネタバレなし)
夫が突然失踪し、家業の銭湯を休業したまま、母・双葉はパートで娘を育てていました。いじめに遭って学校に行けない娘の安澄を、彼女は「自分で行きなさい」と突き放します。
そんなある日、双葉は末期がんで余命わずかだと告げられます。彼女が始めたのは、残りの時間でやるべきことのリストでした。夫を連れ戻し、銭湯を再開し、娘を自立させ、そして家族にまつわるある秘密に決着をつけること。
ここが見どころ
突き放す母
娘を抱きしめるより先に、学校へ行けと言う。優しさではなく厳しさで愛情を示す人物として造形されていて、それが最後まで一貫しています。
血のつながりの扱い
この家族の構成は、途中から観客の予想を裏切っていきます。血縁ではないものを家族にしていくという主題が、静かに前に出てきます。
宮沢りえの芝居
病気の演技に寄りかからず、最後まで生活者として立っています。日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を受賞しています。
この映画について:余命宣告を受けた母が、死ぬまでにやることリストを実行する。
余命ものと聞くと身構えますが、この映画はほとんど泣かせにきません。双葉は弱音を吐かず、悲劇のヒロインにもならない。やることを淡々と片付けていくだけです。その徹底ぶりが、かえって効きます。
家族の形についての話でもあります。血のつながらない人たちが、それでも家族になっていく過程が、説教なしで描かれる。是枝作品に近い主題を、もっと荒っぽく明るくやっているという印象です。
終盤の展開は、比喩としてかなり大胆で、ここで引く人はいると思います。私は好きですが、素直な感動作を期待していると面食らうはずです。あと、いじめの描写は具体的できついです。
この作品の良さ
- 泣かせにこないという判断
- 宮沢りえの、生活者としての芝居
- 血縁でない家族を、説教なしで描く
当サイトの評価
余命宣告を受けた母が、死ぬまでにやることリストを実行する。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.4 |
| 映像美 | 4.1 |
| 音楽 | 4.2 |
| 演技 | 5.0 |
| 余韻 | 4.8 |
世間ではどう評価されているか
- 日本アカデミー賞
- 2冠 最優秀主演女優賞・助演女優賞
- 監督
- 中野量太 商業デビュー作
- 規模
- 小 口コミで評価が広がった
第40回日本アカデミー賞で宮沢りえが最優秀主演女優賞、杉咲花が最優秀助演女優賞を受賞しました。
中野量太監督の商業映画デビュー作です。大きな宣伝を伴わないまま口コミで評価が広がったタイプの作品で、後年になって観る人が増え続けています。
こんな人におすすめ
- 泣かせにこない家族の話が観たい人
- 芝居を観るのが好きな人
- あまり知られていない良作を探している人
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