ズートピア
動物が主人公の楽しいアニメだと思って観始めると、途中で背筋が伸びる作品です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- バイロン・ハワード、リッチ・ムーア
- 製作
- ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
- 製作国
- アメリカ
- 公開
- 2016年
- 受賞
- 米アカデミー賞 長編アニメーション映画賞
- ジャンル
- アニメーション/バディ刑事もの
あらすじ(ネタバレなし)
肉食動物と草食動物が共存する大都市ズートピア。「誰でも何にでもなれる」を掲げるこの街に、ウサギとして史上初の警察官ジュディ・ホップスが赴任します。
しかし彼女に与えられたのは駐車違反の取り締まりだけ。小柄なウサギに事件は任せられない、というのが上司の判断でした。ジュディは強引に行方不明事件の捜査を引き受けます。
手がかりを握るのは、詐欺を生業とするキツネのニック・ワイルド。反りの合わない二人が組んで捜査を進めるうち、事件の背後にある街の構造が見えてきます。
ここが見どころ
偏見の描き方
この映画がすごいのは、主人公自身が偏見を持っていると描いた点です。差別される側だったジュディが、無自覚に他者を差別する。この自己反省の構造が、ただの説教から作品を救っています。
ナマケモノの窓口
陸運局の場面は、この映画でいちばん笑える部分です。ギャグとしての完成度が高すぎて、単独で有名になったほど。緊張の緩和としても効いています。
都市の設計
ツンドラタウン、サハラスクエア、齧歯類の小さな街。動物のサイズに合わせて区画が分かれている設定が、そのまま社会の分断の比喩になっています。
この映画について:動物たちの理想郷を舞台に、偏見の話を正面からやる。
扱っている主題は明確に差別と分断です。少数派が恐れられ、統計が印象操作に使われ、恐怖が政治的に利用される。これを子ども向けアニメーションでやるという判断が、まず異常だと思います。
しかも説教になっていません。理由は、主人公を無謬にしなかったからです。ジュディは善意のまま人を傷つけ、その後で自分の失敗に向き合う。正しい側が正しくないことをするという順序が、この映画を大人向けにしています。
バディものとしても良く出来ていて、ジュディとニックの掛け合いはテンポが良い。ミステリの筋も破綻していません。娯楽としての完成度が、主題の重さを支えています。
唯一気になるのは、比喩がやや直接的なことです。特定の社会状況を思い浮かべやすすぎるため、寓話としての射程が狭くなっている面はあります。ただ、それは伝えたいことがはっきりしている証拠でもあります。
この作品の良さ
- 主人公自身に偏見を持たせた構造
- 差別を扱いながら説教にならない語り口
- バディものとしてのテンポの良さ
- 都市の区画設計が主題の比喩になっている
当サイトの評価
動物たちの理想郷を舞台に、偏見の話を正面からやる。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.7 |
| 映像美 | 4.5 |
| 音楽 | 4.3 |
| 演技 | 4.3 |
| 余韻 | 4.4 |
世間ではどう評価されているか
- 米アカデミー賞
- 受賞 長編アニメーション映画賞
- 公開
- 2016 年
- 製作
- ディズニー
第89回アカデミー賞で長編アニメーション映画賞を受賞しました。
差別や偏見という主題を、子ども向けアニメーションの枠で正面から扱った点が高く評価されています。当サイトでは続編『ズートピア2』も収録しています。
こんな人におすすめ
- アニメーションで社会的な主題を観たい人
- バディ刑事ものが好きな人
- 子どもと一緒に観て、あとで話をしたい人
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