血と骨
邦画2004年ドラマ2000年代日本

血と骨

観ていて楽しい映画ではありません。それでも、俳優としてのビートたけしを語るなら外せない一本です。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督
崔洋一
原作
梁石日『血と骨』
出演
ビートたけし、鈴木京香、新井浩文、オダギリジョー、田畑智子
製作国
日本
公開
2004年
ジャンル
ドラマ/一代記

あらすじ(ネタバレなし)

1923年、済州島から大阪へ渡ってきた金俊平。彼は圧倒的な体力と暴力性を持ち、周囲を力で従わせながら生きていきます。

蒲鉾工場を興して財を成す一方で、家庭では妻子に暴力を振るい続けます。愛人を作り、家に連れ込み、金を貸して取り立てる。彼の行動原理には、他者への配慮というものが存在しません。

戦中から戦後、高度成長期へと時代が移っても、彼のやり方は変わりません。子どもたちは彼を憎み、離れていきます。そして老いが訪れます。

ここが見どころ

ビートたけしの造形

この俳優のフィルモグラフィの中でも異質な役です。愛嬌もカリスマ性も与えられていない。ただ暴力的で身勝手な男を、笑いも救いもなく演じ切っています。

感情移入を拒む構成

普通、一代記ものは主人公に何らかの魅力を持たせます。本作にはそれがない。観客が寄りかかる場所を意図的に奪っているため、観るのに体力が要ります。

時代の変化の描写

大阪の在日コリアン集落が、戦中戦後を通じてどう変わっていったか。背景として描かれる部分に、記録としての価値があります。

この映画について:暴力そのものとして生きた男の、一代記。

梁石日の自伝的小説が原作で、作者の父をモデルにしていると言われます。だからでしょうか、この映画には「なぜこの男を描くのか」という問いへの答えが用意されていません。ただ、こういう人間がいた、という事実だけが置かれている。

崔洋一の演出は徹底して距離を取ります。暴力の場面を煽らず、かといって目を逸らしもしない。説明も断罪もしないという姿勢が、かえって重さを生んでいます。

暴力描写は執拗で、特に家庭内の場面は観ていて苦しい。娯楽として成立させる気がまったくない作りなので、心構えなしに観ると後悔します。

それでも、この時代のこの場所を描いた作品として、代替の効かない位置にあります。日本アカデミー賞をはじめ各賞で評価されたのも納得です。

この作品の良さ

  • ビートたけしの、救いを一切与えない演技
  • 感情移入を拒む構成の徹底
  • 在日コリアン集落の戦中戦後の記録性
  • 説明も断罪もしない演出

当サイトの評価

4.2/5.0

暴力そのものとして生きた男の、一代記。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.2
映像美4.3
音楽4.0
演技4.8
余韻4.4

世間ではどう評価されているか

原作
梁石日 の自伝的小説
監督
崔洋一
公開
2004

梁石日の自伝的小説を原作に、崔洋一が監督した作品です。日本アカデミー賞をはじめ、この年の国内映画賞で複数の賞を受けました。

ビートたけしの俳優としての仕事の中でも、とくに異質な役として言及されることの多い一本です。

こんな人におすすめ

  • 俳優としてのビートたけしに興味がある人
  • 救いのない一代記に耐えられる人
  • 暴力描写に抵抗がない人(かなり強いです)

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