市民ケーン
「史上最高の映画」と言われ続けてきた作品です。身構えずに、技術の展示会として観るのが正解だと思います。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本・主演
- オーソン・ウェルズ
- 撮影
- グレッグ・トーランド
- 上映時間
- 119分
- 公開
- 1941年(アメリカ)
あらすじ(ネタバレなし)
新聞王チャールズ・フォスター・ケーンが「ローズバッド」という一語を残して死にます。記者はその言葉の意味を探るため、彼を知る人々を訪ね歩きます。
貧しい家に生まれ、莫大な財を得て、新聞で世論を動かし、政界を目指し、二度結婚して二度失敗する。証言のたびに、まったく違うケーン像が現れます。
ここが見どころ
パンフォーカス
手前も奥もすべてにピントが合った画面。一つのカットの中で複数の出来事を同時に見せるという手法が、この作品で確立しました。
朝食の場面
夫婦の朝食を数カットだけ並べ、結婚から破綻までの年月を数分で示します。省略の見本としてよく引用されます。
この映画について:一人の人物を、証言だけで組み立てる。
技術の展示会という側面が強い作品です。ローアングル、深い焦点、天井のあるセット、時系列の解体。いま当たり前になっている手法の多くが、ここで一度に投入されました。
物語自体は、成功した男が誰からも理解されずに死ぬというだけです。ただ、それを証言で組み立てる構造にしたことで、人物が最後まで確定しません。
難点は、その先進性がいまでは当たり前になっていて、初見では驚けないことです。「なぜすごいのか」を知ってから観たほうが楽しめるという、少し面倒な作品でもあります。
この作品の良さ
- パンフォーカスをはじめとする撮影技術
- 証言で人物を組み立てる構造
- 省略の見事さ
当サイトの評価
一人の人物を、証言だけで組み立てる。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 5.0 |
| 映像美 | 5.0 |
| 音楽 | 4.6 |
| 演技 | 4.8 |
| 余韻 | 4.8 |
世間ではどう評価されているか
- 批評家投票
- 1位 『Sight & Sound』で長年1位
- 米アカデミー賞
- 受賞 脚本賞
- IMDb
- 8.3 /10
英国映画協会『Sight & Sound』誌の批評家投票で50年にわたり1位を保ち続けました(2012年に『めまい』に交代)。公開当時は実在の新聞王をモデルにしたことで妨害を受け、興行は振るいませんでした。
こんな人におすすめ
- 映画史の必修作を押さえたい人
- 撮影技術に興味がある人
- 構成の面白い作品が好きな人
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