A FLOWER BOUQUET
ドライブ・マイ・カー
3時間近くある静かな映画です。合う人にはとことん合いますが、そうでない人には長いだけになります。見分け方も書きます。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- 濱口竜介
- 原作
- 村上春樹(短編集『女のいない男たち』)
- 出演
- 西島秀俊、三浦透子、岡田将生、霧島れいか
- 上映時間
- 179分
- 公開
- 2021年8月
あらすじ(ネタバレなし)
舞台俳優で演出家の家福悠介は、脚本家の妻・音と穏やかに暮らしていました。妻には秘密があり、彼はそれを知りながら問いたださずにいます。そしてある日、妻は突然この世を去ります。
2年後、広島での演劇祭に招かれた家福は、多言語による『ワーニャ伯父さん』の演出を任されます。主催者の規定により、彼は自分の車を若い女性ドライバー・みさきに運転させることになります。往復の車内で交わされる言葉が、少しずつ二人の抱えているものを開いていきます。
ここが見どころ
本読みの場面
俳優たちに感情を込めさせず、機械的に台詞を読ませ続ける稽古。濱口監督が実際に用いる演出法で、これ自体が作品の主題と重なっています。
多言語の演劇
日本語、韓国語、中国語、そして韓国手話。言葉が通じないまま同じ舞台に立つという設定が、この映画のテーマそのものです。
車内という空間
赤いサーブの車内は、二人が正面を向いたまま話せる場所です。目を合わせないから話せるという設計で、告白の場として機能しています。
この映画について:179分、ほとんど車の中で話しているだけ。それで持つ。
179分のほとんどが会話と沈黙です。事件らしい事件は序盤で終わり、残りは人が話し、聞き、黙る時間に費やされます。この静けさに耐えられるかどうかが、すべての分かれ目です。
主題は「本当のことを言えないまま人が死ぬ」という一点にあります。家福は妻に問いただせなかった。その後悔を、他人の言葉と演劇を通してようやく言葉にしていく。だから稽古の場面が物語として機能します。
終盤、みさきの過去が明かされてからの展開は非常に強い。ただ、そこに至るまでが長く、途中で切ってしまう人も多いと思います。私は「静かな映画をまとめて観る時間がある日」限定で勧めています。
この作品の良さ
- 会話と沈黙だけで3時間を持たせる構成
- 多言語演劇という設定と主題の一致
- 西島秀俊・三浦透子の抑制された芝居
当サイトの評価
179分、ほとんど車の中で話しているだけ。それで持つ。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.9 |
| 映像美 | 4.6 |
| 音楽 | 4.5 |
| 演技 | 4.9 |
| 余韻 | 4.9 |
世間ではどう評価されているか
- 米アカデミー賞
- 受賞 国際長編映画賞
- カンヌ
- 脚本賞 2021年
- ノミネート
- 作品賞 日本映画として異例
第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞。日本映画として作品賞・監督賞・脚色賞にもノミネートされたのは異例のことでした。カンヌ国際映画祭では脚本賞を受賞しています。
原作は村上春樹の短編ですが、映画は他の短編の要素も取り込み、大きく再構成されています。原作から膨らませた部分のほうが多い作品です。
こんな人におすすめ
- 静かな映画に3時間使える人
- 会話劇が好きな人
- 『偶然と想像』『寝ても覚めても』が気になっている人
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