舟を編む
派手さは一切ありませんが、仕事の映画としては近年の邦画でいちばん好きです。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- 石井裕也
- 原作
- 三浦しをん
- 出演
- 松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、加藤剛
- 上映時間
- 133分
- 公開
- 2013年4月
あらすじ(ネタバレなし)
出版社の営業部で持て余されていた馬締光也は、言葉への異常な執着を見込まれ、辞書編集部に引き抜かれます。新しい辞書『大渡海』を作る計画が始まったところでした。
用例採集、語釈の検討、紙の選定。気の遠くなるような作業が何年も続きます。その間に人が去り、担当者が変わり、下宿先の孫娘・香具矢との関係も進んでいきます。完成までにかかった歳月は15年でした。
ここが見どころ
用例採集カード
街で耳にした言葉を、その場でカードに書き留める。この地道な作業を繰り返し映すことで、辞書という物の重さが伝わってきます。
「右」をどう説明するか
誰でも知っている言葉を、辞書としてどう定義するか。この議論が作品の入り口になっていて、言葉を扱う面白さが一発で伝わります。
紙の手触り
指に吸い付くような、めくりやすい紙を作る。ほとんど本題と関係ないようで、これがこの仕事の本質を示す場面になっています。
この映画について:辞書を作るだけの話。それが15年続く。
地味な題材を、地味なまま最後まで押し通します。盛り上げるための事件を作らず、作業と時間の経過だけで話を進める。それでも面白いのは、登場人物が全員この仕事を本気で愛しているからです。
松田龍平のぼそぼそした喋りと、オダギリジョーの軽さの対比がよく効いています。恋愛部分は正直やや弱いのですが、それも含めて全体の温度が一定に保たれている。
15年という時間の飛ばし方が上手く、途中で登場人物が老けていく過程に説得力があります。難点は中盤にやや停滞があることと、終盤の展開がやや駆け足なことでしょうか。
この作品の良さ
- 地味な作業を地味なまま面白く見せる構成
- 言葉についての議論そのものが楽しい
- 15年という時間の描き方
当サイトの評価
辞書を作るだけの話。それが15年続く。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.7 |
| 映像美 | 4.4 |
| 音楽 | 4.4 |
| 演技 | 4.8 |
| 余韻 | 4.7 |
世間ではどう評価されているか
- 日本アカデミー賞
- 6冠 最優秀作品賞ほか
- 原作
- 三浦しをん 本屋大賞受賞作
- IMDb
- 7.3 /10
第37回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を含む6部門を受賞しました。原作は三浦しをんの同名小説で、本屋大賞を受賞しています。
米アカデミー賞外国語映画賞の日本代表にも選ばれました。2024年にはテレビドラマ版も制作されています。
こんな人におすすめ
- 仕事を描いた映画が好きな人
- 言葉や辞書に興味がある人
- 静かな作品をゆっくり観たい人
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