ゼロ・グラビティ
脚本の弱さはよく指摘されるところで、私もそう思います。それでも観る価値がある理由を、はっきり分けて書きます。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- アルフォンソ・キュアロン
- 出演
- サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー
- 撮影
- エマニュエル・ルベツキ
- 上映時間
- 91分
- 日本公開
- 2013年12月
あらすじ(ネタバレなし)
地球の周回軌道上。医療技術者のライアン・ストーンは、初めての宇宙飛行でハッブル宇宙望遠鏡の修理作業にあたっていました。ベテラン飛行士マット・コワルスキーが、雑談をしながら船外を漂っています。
そこへ、破壊された人工衛星の破片が高速で襲来します。シャトルは大破し、通信は途絶え、二人は宇宙空間に取り残されます。酸素は減り続け、次のデブリは90分後にまた来る。
ここが見どころ
冒頭の長回し
13分近く途切れないカットで、静かな作業から一気に破局までを見せます。切らないことで逃げ場をなくすという設計が、そのまま恐怖になっています。
音がない
宇宙では音が伝わらないという原則をおおむね守り、破壊の場面でも轟音が鳴りません。かわりに聞こえるのは呼吸と、身体を伝わる振動だけです。
主観と客観の行き来
カメラが外から人物を捉えていたかと思うと、そのままヘルメットの中に入り込みます。この移動がとにかく滑らかで、観客の位置が固定されません。
この映画について:91分、ほぼ全編が遭難。物語より体験の映画。
物語は極端に単純で、登場人物も実質二人です。この映画の価値は筋ではなく、91分間ずっと「宇宙にいる」と錯覚させ続ける技術のほうにあります。無重力の身体の動き、酸素の減り方、回転の止まらなさ。
サンドラ・ブロックの芝居も相当なもので、ほぼ全編を一人で、しかも身体の自由が効かない状態で持たせています。呼吸の演技だけで緊張を作る場面がいくつもあります。
弱いのは脚本です。主人公の背景として与えられる過去が図式的で、途中の独白はかなり通俗的。ここが浮いていると感じる人は多いはずで、私もそう思います。物語を期待して観ると肩透かしを食います。
この作品の良さ
- 長回しと音の設計による没入感
- 無重力の身体表現の徹底
- 91分と短く、緊張が途切れない
当サイトの評価
91分、ほぼ全編が遭難。物語より体験の映画。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 3.8 |
| 映像美 | 5.0 |
| 音楽 | 4.6 |
| 演技 | 4.3 |
| 余韻 | 3.9 |
世間ではどう評価されているか
- 米アカデミー賞
- 7冠 監督賞・撮影賞・視覚効果賞ほか
- IMDb
- 7.7 /10
- 上映時間
- 91分 近年の大作としては短い
第86回アカデミー賞で監督賞・撮影賞・編集賞・視覚効果賞・作曲賞・録音賞・音響編集賞の7部門を受賞しました。作品賞は逃していますが、技術部門をほぼ独占しています。
公開当時は3D・IMAXでの上映が前提のような作りで話題になりました。映画館で観る価値がはっきりしていた作品として、いまも例に挙げられます。
こんな人におすすめ
- 体験型の映画が観たい人
- 大きな画面と良い音で観られる人
- 短い映画で緊張感を味わいたい人
配信を探す
各サービスで「ゼロ・グラビティ」を検索した結果へ移動します。配信の有無はリンク先でご確認ください(配信状況は頻繁に変わるため、当サイトでは配信中かどうかの判定はしていません)。