犬神家の一族THE INUGAMI FAMILY
邦画1976年サスペンス1970年代市川崑

犬神家の一族

推理としての意外性より、映像と音楽の様式で観る作品です。日本のミステリー映画の基準を作りました。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督・脚本
市川崑
原作
横溝正史
出演
石坂浩二、高峰三枝子、あおい輝彦、島田陽子
音楽
大野雄二
上映時間
146分
公開
1976年10月

あらすじ(ネタバレなし)

信州の製薬王・犬神佐兵衛が莫大な遺産を残して他界します。遺言状の内容は異様なもので、血縁の三姉妹の息子たちと、恩人の孫娘・珠世を巻き込む条件が付されていました。

遺言の公開後、一族が次々と殺されていきます。呼ばれて訪れた探偵・金田一耕助は、湖に浮かぶ死体、菊人形、そして仮面をつけた復員兵をめぐる謎に向き合うことになります。

ここが見どころ

湖面の足

逆さに突き刺さった死体の足だけが水面から出ている図。日本のミステリー映画でもっとも有名な一枚です。

市川崑の様式

極端な明朝体の字幕、切り詰めたカット、色の設計。物語より先に様式が印象に残る作りです。

大野雄二の音楽

重々しいテーマ曲。シリーズ全体の記号になっています。

この映画について:湖から足だけが突き出ている、あの絵。

推理としては、犯人の見当がつきやすい部類です。この作品の価値は、様式の完成度にあります。構図、色、字幕、音楽が全部同じ方向を向いている。

遺産相続と戦争の記憶が絡む構造で、単なる殺人事件にはなっていません。動機の根に敗戦があるという点が、日本の作品らしい。

難点は146分という長さと、人物が多く関係が複雑なことです。また、いま観るとお約束として消費されすぎていて、初見の驚きは得にくいと思います。

この作品の良さ

  • 市川崑による様式の完成度
  • 大野雄二の音楽
  • 戦争の記憶を動機の根に置く構造

当サイトの評価

4.5/5.0

湖から足だけが突き出ている、あの絵。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.5
映像美4.7
音楽4.7
演技4.6
余韻4.5

世間ではどう評価されているか

興行
大ヒット 以降シリーズ化
IMDb
7.4 /10
リメイク
2006年 同じ監督で再映画化

公開時に大ヒットし、金田一耕助シリーズの映画化が続く出発点になりました。2006年には市川崑監督自身によるリメイクも作られています。

こんな人におすすめ

  • 日本のミステリー映画を押さえたい人
  • 様式的な映像が好きな人
  • 横溝正史の世界に触れたい人

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