おくりびと
受賞のインパクトが大きかった作品ですが、いま観ても納棺の場面の緊張感は変わりません。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- 滝田洋二郎
- 脚本
- 小山薫堂
- 出演
- 本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子
- 音楽
- 久石譲
- 上映時間
- 130分
- 公開
- 2008年9月
あらすじ(ネタバレなし)
所属していた楽団が解散し、職を失ったチェロ奏者の小林大悟は、妻を連れて故郷の山形へ戻ります。求人広告の「旅のお手伝い」という一文に応募したところ、それは旅行代理店ではなく、遺体を清め、装束を着せて棺に納める納棺師の仕事でした。
偏見と嫌悪に晒されながらも、大悟は社長の所作の美しさに引き込まれていきます。妻には仕事の内容を言えないまま、彼はさまざまな死と、その家族に立ち会っていきます。
ここが見どころ
納棺の所作
布の下で衣服を替え、顔を整え、手を組ませる。一連の動きが茶道のように様式化されて撮られており、そこに緊張と美しさが生まれます。
山崎努の存在
多くを語らない社長。ふぐの白子を食べながら「困ったことに、うまいんだよな」と言う場面が、この映画の死生観そのものです。
久石譲のチェロ
主人公の楽器がそのまま劇伴になっています。音楽が人物の内面と一致している構成です。
この映画について:死体に触れる仕事を、美しい所作として見せる。
題材は重いのに、映画としては明るい部類です。笑える場面をきちんと入れて、湿っぽくしないという配分が上手い。所作の美しさが前に出るぶん、死が怖いものとして描かれません。
本木雅弘が長年この題材を温めていたという経緯もあり、納棺の所作の再現度は高いです。ここが崩れていたら成立しない映画なので、いちばん重要な部分がしっかりしています。
弱点は、父親をめぐる終盤の展開が図式的なことです。伏線の置き方も分かりやすく、先が読めます。感動の設計が見えすぎるという批判は正当だと思いますが、それでも所作の場面の力は残ります。
この作品の良さ
- 納棺の所作を様式として見せる演出
- 重い題材を湿っぽくしない配分
- 山崎努の存在感
当サイトの評価
死体に触れる仕事を、美しい所作として見せる。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.6 |
| 映像美 | 4.5 |
| 音楽 | 4.9 |
| 演技 | 4.8 |
| 余韻 | 4.7 |
世間ではどう評価されているか
- 米アカデミー賞
- 受賞 外国語映画賞
- 日本アカデミー賞
- 最優秀作品賞 第32回
- 国内興行収入
- 約65 億円
第81回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞しました。日本作品の同部門受賞は、1955年の『宮本武蔵』以来のことです。
受賞後に上映が拡大し、国内興行収入は65億円前後まで伸びました。納棺師という職業が広く知られるきっかけにもなっています。
こんな人におすすめ
- 死生観を扱った作品に興味がある人
- 所作や様式の美しさを味わいたい人
- 重すぎない人間ドラマが観たい人
配信を探す
各サービスで「おくりびと」を検索した結果へ移動します。配信の有無はリンク先でご確認ください(配信状況は頻繁に変わるため、当サイトでは配信中かどうかの判定はしていません)。