PERFECT BLUE
邦画1997年アニメ1990年代サスペンス

パーフェクトブルー

アニメーションでサスペンスをやる意味がはっきり分かる作品です。実写では絶対にできない編集をしています。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督
今敏
原作
竹内義和
音楽
幾見雅博
声の出演
岩男潤子、松本梨香、辻親八
上映時間
81分
公開
1998年2月

あらすじ(ネタバレなし)

アイドルグループのメンバーだった霧越未麻は、女優への転身を決意し、グループを脱退します。しかし与えられる仕事は、それまでの清純なイメージを壊すものばかりでした。

同じころ、彼女の私生活を克明に記した「未麻の部屋」というサイトが現れます。関係者が次々と殺され、未麻自身も、自分が何をしていて何をしていないのかが分からなくなっていきます。

ここが見どころ

カットのつなぎで現実を壊す

撮影中のドラマ、現実、そして妄想が、切り返しの一瞬で入れ替わります。アニメーションだから絵柄も背景も自在に接続できるという特性を、混乱の演出そのものに使っています。

「あなた、誰なの?」

アイドル時代の自分が鏡や窓に現れ、いまの未麻を責める。過去の自己イメージが加害者として立ち上がるという発想が、公開から30年近く経っていよいよ生々しくなりました。

81分の密度

無駄な場面がほぼありません。短いぶん、混乱の速度が落ちないまま終盤まで走り切ります。

この映画について:現実と虚構の境目を、編集だけで壊していく。

1997年の作品なのに、インターネット上の「自分の像」に人格を侵食されるという主題が、いまのほうがずっと切実に響きます。予言的だったと評されるのは当然だと思います。

演出の中心は編集です。同じ動きを別の場所で継続させる、劇中劇と現実を同じ構図でつなぐ。この手法は後にダーレン・アロノフスキー監督などが実写で引用しており、影響がはっきり追えます。

注意点として、性暴力の描写とストーカー行為の描写が強く、観る人を選びます。また、混乱を狙った構成なので、初見では意図的に置いていかれます。そこを楽しめるかどうかです。

この作品の良さ

  • アニメーションの特性を活かした編集による混乱の演出
  • 自己イメージに侵食されるという、先取りされた主題
  • 81分の密度

当サイトの評価

4.6/5.0

現実と虚構の境目を、編集だけで壊していく。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.8
映像美4.7
音楽4.5
演技4.4
余韻4.9

世間ではどう評価されているか

IMDb
8.0 /10
監督
今敏 長編デビュー作
影響
実写にも 海外の監督が引用を公言

今敏監督の長編デビュー作です。公開規模は小さく、国内での評価が広がったのは後年のことでした。

海外での評価が高く、実写映画への影響がはっきり指摘される珍しいアニメーション作品です。ダーレン・アロノフスキー監督が本作の場面を『レクイエム・フォー・ドリーム』で再現したことはよく知られています。

こんな人におすすめ

  • アニメーションでしかできない演出を観たい人
  • 心理サスペンスが好きな人
  • 『ブラック・スワン』が好きだった人

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