雨月物語UGETSU
邦画1953年時代劇1950年代溝口健二

雨月物語

怪談ですが、怖がらせる作品ではありません。撮影の美しさで観る一本です。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督
溝口健二
原作
上田秋成
撮影
宮川一夫
出演
京マチ子、森雅之、田中絹代、小沢栄
上映時間
97分
公開
1953年3月

あらすじ(ネタバレなし)

戦国時代の琵琶湖畔。焼き物で一儲けしようとする源十郎と、侍になることを夢見る義弟の藤兵衛。戦乱を好機と見た二人は、妻たちの制止を振り切って町へ出ます。

源十郎は町で高貴な女性・若狭に見初められ、屋敷に招かれます。夢のような日々を送るうちに、彼は家に残した妻のことを忘れていきます。

ここが見どころ

境目のない移動撮影

カメラが止まらずに移動するうちに、いつのまにか場面も時間も変わっています。切らずに現実と幽界を跨ぐという手法が、この作品の最大の見どころです。

霧の湖

舟が霧の中を進む場面。ほとんど何も見えないのに、この世でない場所へ渡っていくことが伝わります。

この映画について:生者と死者の境目を、カメラの移動だけで越える。

怪談の形をしていますが、描かれているのは欲に取り憑かれた男たちと、そのせいで犠牲になる女たちです。溝口健二監督が繰り返し扱った主題がここにもあります。

撮影の宮川一夫による長回しは、いま観ても異様に滑らかです。カットを割らないことで、観客も一緒に境目を越えてしまう。

難点は、テンポの遅さと台詞の聞き取りにくさです。97分と短いのが救いですが、集中して観る必要はあります。

この作品の良さ

  • 切らずに現実と幽界を跨ぐ移動撮影
  • 霧の湖など、画としての美しさ
  • 欲と犠牲という一貫した主題

当サイトの評価

4.9/5.0

生者と死者の境目を、カメラの移動だけで越える。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.9
映像美5.0
音楽4.6
演技4.9
余韻5.0

世間ではどう評価されているか

ヴェネツィア
銀獅子賞 1953年
IMDb
8.1 /10
評価
最高位 日本映画のベストに常に入る

1953年のヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞。『羅生門』に続く受賞で、日本映画の国際的評価を決定づけた一本です。海外の映画人からの評価が特に高い作品でもあります。

こんな人におすすめ

  • 撮影の美しさを味わいたい人
  • 日本の古典映画に挑戦したい人
  • 怪談を静かに観たい人

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