A CLOCKWORK
ORANGE
洋画1971年ドラマ1970年代キューブリック

時計じかけのオレンジ

刺激的な場面ばかりが有名ですが、構造は非常に整理されています。人を選ぶ作品なので、合わない人ははっきり合いません。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督・脚本
スタンリー・キューブリック
原作
アンソニー・バージェス
出演
マルコム・マクダウェル
上映時間
137分
日本公開
1972年4月

あらすじ(ネタバレなし)

近未来のイギリス。アレックスは仲間を率いて、夜ごと暴行と強盗を繰り返しています。ベートーヴェンの第九を愛し、暴力に音楽的な快感を覚える少年です。

やがて彼は仲間に裏切られて逮捕され、刑期を短縮する代わりに新しい治療プログラムを受けます。暴力と性的な映像を強制的に見せられ続けることで、それらを思い浮かべただけで激しい嘔吐感に襲われる身体に作り変えられるのです。

ここが見どころ

前半と後半の反転

前半でアレックスが加害した相手が、後半でそのまま彼を痛めつける側に回ります。同じ出来事を立場を入れ替えて二度見せるという、非常に整理された構造です。

音楽の使い方

暴行の場面で『雨に唄えば』が歌われ、治療の場面で第九が流れる。明るい音楽を最悪の場面に当てる手法は、この作品が広く知らしめました。

広角レンズの画面

歪んだ広角と左右対称の構図で、世界そのものが少しおかしく見えるように撮られています。

この映画について:暴力を裁く側のほうが怖い、という話。

暴力描写で有名ですが、映画が問うているのは「選べない善は善なのか」という一点です。治療されたアレックスはもう悪事ができませんが、それは彼が良くなったのではなく、選択肢を奪われただけです。

その問いを納得させるために、前半でアレックスを徹底的に不快な人物として描く必要がありました。だから前半はきつい。ここを乗り越えられるかが分かれ目になります。

映像は様式的で、色も構図も完全に管理されています。50年以上前の作品ですが古びた感じはありません。ただし、性暴力の描写を含むので、無条件には勧められません。体調のいい日に、覚悟して観る映画です。

この作品の良さ

  • 前半と後半を反転させる構造の明快さ
  • 音楽と映像を対立させる演出
  • 様式化された美術と撮影

当サイトの評価

4.4/5.0

暴力を裁く側のほうが怖い、という話。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.3
映像美4.9
音楽4.9
演技4.7
余韻4.8

世間ではどう評価されているか

IMDb
8.2 /10
米アカデミー賞
4部門 ノミネート
英国
上映中止 監督自身の意向で長く未公開に

第44回アカデミー賞で作品賞を含む4部門にノミネートされました。公開後、模倣犯とされる事件が報じられたことなどから、キューブリック監督自身の意向でイギリス国内では長く上映されない状態が続きました(解除は監督の没後)。

作品の評価と、社会に与えた影響をめぐる議論が、公開から半世紀以上たったいまも続いている一本です。

こんな人におすすめ

  • 問題作と呼ばれる映画を自分の目で確かめたい人
  • 様式的な映像が好きな人
  • 強い描写に耐えられる人

配信を探す

各サービスで「時計じかけのオレンジ」を検索した結果へ移動します。配信の有無はリンク先でご確認ください(配信状況は頻繁に変わるため、当サイトでは配信中かどうかの判定はしていません)。