家族ゲーム
80年代の邦画で一本挙げるならこれです。いま観ても異様で、そして異様なほど笑えます。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- 森田芳光
- 原作
- 本間洋平
- 出演
- 松田優作、宮川一朗太、伊丹十三、由紀さおり
- 上映時間
- 107分
- 公開
- 1983年6月
あらすじ(ネタバレなし)
団地に暮らす沼田家。父は会社員、母は専業主婦、長男は進学校に通い、次男の茂之は成績が振るいません。両親は次男のために、七番目の家庭教師として吉本という青年を雇います。
吉本は型破りで、いきなり生徒を殴り、無遠慮に家に上がり込み、家族の関係にずかずかと踏み込んでいきます。成績は上がっていきますが、同時にこの家族がずっと避けてきたものが表に出てきます。
ここが見どころ
横一列の食卓
細長いテーブルに家族全員が同じ方向を向いて並ぶ。向かい合わない家族という一枚の絵だけで、この作品が言いたいことはほぼ言えています。
生活音だけ
劇伴音楽がほとんど使われず、咀嚼音、すすり音、工事の音が異様に大きく入ります。この音響設計が全編の居心地の悪さを作ります。
松田優作の吉本
何を考えているか分からず、暴力的で、時に優しい。説明されない人物として最後まで通されます。
この映画について:家族全員が横一列に並んで食事をする、あの画。
ジャンルとしてはコメディですが、笑いの質がとても乾いています。家族というものが、すでに形だけの共同体になっているという認識が全編にあって、それを誇張ではなく淡々と見せてくる。
有名な食卓の構図をはじめ、画面設計が徹底しています。人物は常に不自然な位置に置かれ、正面から撮られる。この「わざとらしさ」が、家族というものの演技性そのものを表しています。
終盤の食事の場面で全部が壊れますが、その後にあるのは解決ではなく、ただの静寂です。何も解決しないまま終わるので、すっきりしたい人には向きません。1983年の作品ですが、描かれている家族像はいま観てもまったく古びていません。
この作品の良さ
- 横一列の食卓に象徴される、画面設計の徹底
- 劇伴を使わず生活音で作る居心地の悪さ
- 松田優作の、説明されない人物造形
当サイトの評価
家族全員が横一列に並んで食事をする、あの画。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.8 |
| 映像美 | 4.6 |
| 音楽 | 4.0 |
| 演技 | 4.8 |
| 余韻 | 4.7 |
世間ではどう評価されているか
- キネマ旬報
- 1位 1983年 日本映画ベスト・テン
- 日本アカデミー賞
- 受賞 最優秀監督賞ほか
- 評価
- 定番 80年代邦画の代表作
1983年のキネマ旬報ベスト・テンで日本映画1位に選ばれ、日本アカデミー賞でも複数部門を受賞しました。森田芳光監督の代表作です。
公開から40年以上経っても、家族を描いた日本映画として繰り返し参照されます。横一列の食卓の構図は、いまも各所で引用され続けています。
こんな人におすすめ
- 乾いた笑いが好きな人
- 画面設計を味わいたい人
- 80年代の邦画に興味がある人
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