裏窓
ヒッチコック作品の中でいちばん人に勧めやすい一本です。仕掛けが分かりやすく、しかも上品です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- アルフレッド・ヒッチコック
- 出演
- ジェームズ・スチュワート、グレース・ケリー、セルマ・リッター
- 上映時間
- 112分
- 公開
- 1954年(アメリカ)
あらすじ(ネタバレなし)
報道カメラマンのジェフは、取材中の事故で足を骨折し、車椅子で自宅療養中です。することもなく、彼は中庭を囲む向かいのアパートの住人たちを眺めて過ごしています。
作曲家、新婚夫婦、独り身の女性、そしてセールスマンの夫婦。ある晩を境に、その妻の姿が見えなくなります。ジェフは夫が妻を殺したのではないかと疑い始めますが、彼は部屋から出られません。
ここが見どころ
視点の固定
カメラはほぼ主人公の部屋から出ません。観客が知れることは、主人公が窓から見えることだけという制約が、そのまま緊張になります。
中庭のセット
全住戸を作り込んだ巨大なセット。台詞のない他の住人たちの暮らしが、それぞれ小さな物語として同時進行しています。
この映画について:主人公は動けない。だから観客も、窓から見るしかない。
「覗く」ことの映画です。主人公は退屈しのぎで他人を見ているだけですが、次第に止められなくなる。これは映画を観るという行為そのものの比喩で、観客も同じことをしている。
サスペンスとしての構造も見事で、主人公が動けないという設定が、そのまま無力さと緊張に変換されています。終盤、彼にできることが極端に少ないのが効く。
難点は、テンポが現在の基準ではゆっくりなことです。また、恋人リサの扱いは当時の型どおりで、彼女が有能さを示す場面はあるものの、位置づけは古い。
この作品の良さ
- 視点を固定したままの構成
- 中庭のセットと、同時進行する小さな物語
- 動けない主人公という設定の活かし方
当サイトの評価
主人公は動けない。だから観客も、窓から見るしかない。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.9 |
| 映像美 | 4.8 |
| 音楽 | 4.4 |
| 演技 | 4.7 |
| 余韻 | 4.5 |
世間ではどう評価されているか
- IMDb
- 8.5 /10
- 米アカデミー賞
- 4部門 ノミネート
- 評価
- 定番 サスペンスの代表作
公開当時から高い評価を受け、ヒッチコック監督の代表作のひとつとされています。「限定された視点で語る」という手法の見本として、いまも繰り返し分析される作品です。
こんな人におすすめ
- ヒッチコックを一本試したい人
- 限定された空間の物語が好きな人
- 古典の入り口を探している人
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