
タイタニック
恋愛映画として語られすぎたせいで、かえって過小評価されているところがある一本だと思っています。特に後半のパニック描写の構成力は、いま観ても圧巻です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- ジェームズ・キャメロン
- 出演
- レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、ビリー・ゼイン、キャシー・ベイツ
- 音楽
- ジェームズ・ホーナー
- 主題歌
- セリーヌ・ディオン『My Heart Will Go On』
- 上映時間
- 194分
- 日本公開
- 1997年12月
あらすじ(ネタバレなし)
現代。深海に沈むタイタニック号から、金庫に入った一枚の素描が引き揚げられます。描かれていたのは、首に大きな宝石を下げた若い女性の裸像。そのニュースを見た101歳の老女ローズが、自分がその絵のモデルだと名乗り出ます。
1912年。名家の娘ローズは、家の財産を守るために望まない結婚を強いられ、豪華客船タイタニックの一等船室で息が詰まる日々を送っていました。投身自殺をはかろうとした彼女を止めたのが、賭けで三等船室の切符を手に入れた貧しい画家のジャックです。
身分の違う二人は惹かれ合い、船内を駆け回ります。そして航海4日目の深夜、船は氷山に接触する。乗客2200人に対し、救命ボートの定員は半分ほどしかありませんでした。
ここが見どころ
沈む過程を丁寧に見せる
衝突から沈没まで、船がどう傾き、どこから水が来て、人がどう動くかが順を追って描かれます。災害映画としての情報量が異常に多いのに混乱しない。ここがこの映画のいちばんの技術です。
脇の人々のドラマ
最後まで演奏を続ける楽団、子どもに物語を聞かせる母親、船と運命を共にする設計士。主役二人の話が停まっている間、これらの短い場面が感情を運び続けます。
現代パートという枠
老いたローズの回想という形にしたことで、「彼女は生き延びた」と最初から分かっている状態で物語が進みます。それでも緊張が落ちないのは、危ないのは彼女だけではないからです。
僕は世界の王だ!
ジャック・ドーソン(劇中の台詞より)
この映画について:結末を全員が知っている状態で、3時間持たせてしまう映画。
改めて観ると、この映画は前半と後半でまったく別のジャンルをやっています。前半は身分違いの恋愛と船内観光、後半は徹底したパニック映画。前半で船の構造と人の配置を頭に入れさせて、後半でそれを全部使い切る。この設計がとにかく上手い。
恋愛部分の脚本は、正直に言えば紋切り型です。婚約者は分かりやすい悪役だし、二人の会話に深みがあるわけでもない。ただ、この単純さは意図的だと思っています。込み入った関係にしてしまうと、後半の災害に感情がついていかない。物語を単純にした分を、映像と物量に振り切っている。
特筆すべきは、194分という長さを感じさせないことです。船が傾き始めてからの1時間は、いま観ても手に汗を握る。当時の特撮がCGと実物大セットの併用だったこともあり、水の重さがきちんと画に出ています。
弱点は、やはり台詞と人物造形の平板さです。ここが気になる人には、前半が長く感じるはず。あと純粋に長いので、時間の確保は必要です。
この作品の良さ
- 沈没の過程を、混乱させずに見せ切る構成力
- 前半で配った情報を後半で全部使う設計
- 実物大セットと水の重量感。映像の説得力
- 脇役の小さなドラマが効いている
当サイトの評価
結末を全員が知っている状態で、3時間持たせてしまう映画。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.0 |
| 映像美 | 4.9 |
| 音楽 | 4.7 |
| 演技 | 4.4 |
| 余韻 | 4.3 |
世間ではどう評価されているか
- 日本 興行収入
- 262 億円
- 米アカデミー賞
- 11冠 作品賞・監督賞ほか
- IMDb
- 7.9 /10
第70回アカデミー賞で作品賞・監督賞を含む11部門を受賞。これは『ベン・ハー』と並ぶ最多受賞記録です。世界興行収入でも長く歴代1位を保ち続けました。
日本での興行収入は262億円。前年に『もののけ姫』が打ち立てた記録をあっさり更新し、2020年に『鬼滅の刃』が抜くまで、洋画としては長く日本の歴代1位の座にありました。社会現象と呼べる規模で当たった、数少ない作品のひとつです。
こんな人におすすめ
- 有名なのに観ていない、という状態を解消したい人
- 災害・パニック映画としての完成度に興味がある人
- 腰を据えて長い映画を観る時間がある人
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