ベイビー・ドライバー
アイデア一発の映画に見えて、そのアイデアを2時間維持しきったことのほうが凄い作品です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- エドガー・ライト
- 出演
- アンセル・エルゴート、ケヴィン・スペイシー、リリー・ジェームズ、ジェイミー・フォックス、ジョン・ハム
- 製作国
- イギリス・アメリカ
- 公開
- 2017年
- 特徴
- 全編の編集が劇中曲と同期
- 米アカデミー賞
- 3部門ノミネート
あらすじ(ネタバレなし)
幼い頃の事故で耳鳴りが消えなくなったベイビーは、常に音楽を聴いています。それが彼にとって唯一、世界を正常に感じられる方法でした。
彼は天才的な運転技術を持ち、強盗団の逃走運転手として働いています。犯罪組織のボスに借金があり、それを返し終えれば足を洗えるはずでした。
ダイナーで出会ったウェイトレスのデボラと、彼は音楽の話で通じ合います。まっとうな生活が見えかけたそのとき、ボスは彼を最後の仕事に呼び戻します。
ここが見どころ
音と画の同期
銃声、ワイパー、足音、車のドアの音。ほぼすべての物音が、流れている曲の拍に合っています。これを撮影段階から設計しているため、後付けの編集では出せない自然さがある。
冒頭の6分
曲が始まり、車が発進し、逃走が終わるまで。台詞をほぼ使わずに、主人公の技術と性格を全部見せる導入で、これだけで観る価値があります。
実車によるカーチェイス
CGに頼らず、実際に車を走らせて撮っています。重量感と危なっかしさが画に残っていて、これがリズムと噛み合うと快感になります。
この映画について:全編、音楽に合わせて車が走る。
エドガー・ライトは元々、編集と音の同期に強いこだわりを持つ監督です。本作はその作家性を全面に出した企画で、ミュージカルではないのに、ミュージカルと同じ原理で動いている作品と言えます。
感心するのは、この仕掛けを説明しないことです。主人公が音楽を必要とする理由は最初に短く示されるだけで、以後は当たり前のこととして進む。観客が自分で仕組みに気づく作りになっています。
後半、話が暴力的な方向へ振れてからは、やや失速します。前半の軽やかさが失われ、普通の犯罪映画に近づく。ここは構造上避けられない部分ですが、惜しいところです。
恋愛の描写も、かなり簡略です。二人の関係が深まる過程はほぼ省略されていて、そこを気にすると乗り切れません。あくまで、リズムに乗るための装置として観るべき作品だと思います。
この作品の良さ
- 全編の物音を楽曲の拍に同期させた設計
- 台詞なしで人物を紹介する冒頭6分
- CGに頼らない実車のカーチェイス
- 仕掛けを説明せずに進める潔さ
当サイトの評価
全編、音楽に合わせて車が走る。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.1 |
| 映像美 | 4.6 |
| 音楽 | 5.0 |
| 演技 | 4.2 |
| 余韻 | 4.1 |
世間ではどう評価されているか
- 米アカデミー賞
- 3 部門ノミネート(編集・音響ほか)
- 監督
- エドガー・ライト
- 公開
- 2017 年
第90回アカデミー賞で編集賞・音響編集賞・録音賞の3部門にノミネートされました。
劇中の楽曲に画と音を同期させる手法が話題となり、撮影前の段階から楽曲を確定させて制作されたことが知られています。
こんな人におすすめ
- 音楽と映像の同期に興味がある人
- カーチェイスが好きな人
- 『ショーン・オブ・ザ・デッド』などエドガー・ライト作品が好きな人
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